登場

改札にいると、特急はるかで関空までやってきた、30歳にしてはやや恰幅の良い、冠婚葬祭用の背広を着た男が前からやってきた。
『2年ぶりになるかな。』
私は彼のあまりの変貌ぶりに、少し躊躇するも、
『いや、3年は経っているだろう』
と、冷静に話を進めていく。
改札というのは、出会いの場であり、そして別れの場だ…
どのくらいのカップルが改札で立ち止まることだろうか。
しかし歳を重ねるごとにそういう機会は無くなって行く。
通勤のみに使う無機質な改札へ、毎日、切符をくぐらすようになるだけだ。