ターミナル

何気なく男が二人並んで歩いている。
七人の侍に出てくるシーンを思い出す。
とにかく何かお腹に詰め込みたい。そんな血走った目で、友人は、レストランを物色している。
『何か食べたい物があるのかい?』
と私が聞くと、
『なんでも。任せるわ…』
との返答。
サントリーのレストランに入るも、私は特にお腹がすいていない。
自分は、ナッツを注文。
彼は、しょうが焼き定食と、これまた定番メニュー。
私のナッツが先に現れ、
『これ食べてもいいかい?』
と、友人。
自分のではあるが、当然拒否する理由もない。
カップルならいざ知らず、男同士で、食べ物を分かち合うのは変な気がする。
しかし、友人のナッツを口に入れる手は止まらない。
どんどんどんどん、口をむしゃむしゃ、食べていく。
私が一つ食べる間に、彼は3つは食らっていた。
しょうが焼きも登場し、彼がそれに移行するもナッツの手は止まらない。
まるで、10代の食欲である。とても、30歳過ぎた大人の食欲とは思えなかった。
彼は全部食べ終わって、
『ああ、まだまだ食い足りない。たしか、3階にもレストランあったよね!!』