続。名誉

彼は、3時半まで何も食べていなかった。
私なら、指定席の特急なら、弁当を買って、見慣れない電車からの景色をめでながら、弁当に舌鼓を打つところだが…
彼曰く、お金がないらしい。
余程、京都でお金を使う行事があると思えてしまう。
『おっと忘れるところだった。はい、これ。』
彼は私にお土産を買って来てくれた。
とても綺麗な宝石のような京菓子だった。
弁当を我慢して、彼は、このうだつの上がらない私のために、買って来てくれた。
そのお菓子は、とても甘く、自分がはじめて口にする食感であった。